機械式腕時計の規格について


機械式腕時計に、品質規格があることをご存じでしょうか。ジュネーブシールやCOSCなどの品質規格は、製品自体の精度や防水性、デザイン性などを厳格に審査するとともに、その最高品質を保証するものです。
今回は、機械式腕時計の品質規格のうち、ジュネーブシールやCOSC、マスタークロノメーターについてご紹介します。

最も古い歴史を持つ品質規格「ジュネーブシール」

最も古い歴史を持つ品質規格「ジュネーブシール」

ジュネーブシールとは、品質の高さが認められた機械式時計に与えられる、公的認定証明のことです。

スイス・ジュネーブ市が定めた規定に基づく厳しい品質基準をクリアし、認定を受けた時計は、ムーブメントのブリッジにジュネーブ市の紋章が刻印されます。

ジュネーブシールには12の条件・基準が設けられており、その1つに「組み立てや製造等は、スイスのジュネーブ州で行われること」とあるため、それ以外の地域で作られた製品は、その認定証明を取得することができません。

ジュネーブシールの認定を受けている代表的なブランドとしては、パテックフィリップやショパール、ヴァシュロン・コンスタンタン、ロジェ・デュブイなどが挙げられます。
その中でも最も多い取得数を誇るといわれているパテックフィリップは、長期にわたりジュネーブシールの認定規格に準じた製造を徹底して行っているため、2008年までは無条件でジュネーブシールを刻印される唯一のブランドでした。

ちなみに、2009年以降はパテックフィリップ独自の品質基準「パテックフィリップシール」を設け、現在はそちらが適応されています。

機械式腕時計の並外れた精度を保証する「COSC」

機械式腕時計の並外れた精度を保証する「COSC」

COSCとは、ムーブメントの精度検査を行う、スイス公認のクロノメーター検査協会のことです。

クロノメーターとは、高精度のムーブメントに対して与えられる認定称号。すなわち、COSCが認可したムーブメントを搭載した時計を、クロノメーターと呼ぶことができるのです。

COSCのクロノメーター検定では、5つの姿勢差と3つの温度差におけるムーブメントの精度を、15日間にわたり計測します。その状況の中で、平均日差「-4秒~+6秒以内」に誤差が収まらなくてはならないなど、8つの条件を満たす必要があります。

厳しい検査や規定を無事突破した製品には、COSC規格合格の証しとして、文字盤に「CHRONOMETRE」というロゴが刻印されます。

クロノメーター認定を受けている代表的なブランドとしては、ロレックスやオメガ、ブライトリングなどが挙げられます。中でもブライトリングは、1999年に全モデルをクロノメーター化する宣言を発表し、2001年には全モデルがクロノメーターとして認められています。

高い耐磁性を証明するムーブメント精度基準「マスタークロノメーター」

マスタークロノメーターとは、2014年にオメガとスイス連邦計量・認定局(METAS)が新しく定めた検査・認定規格のことです。

マスタークロノメーターの認定を得るには、前述のCOSC規格に合格していることが前提となります。その上で、とても厳しい8つの基準をクリアしなければなりません。
マスタークロノメーターの試験期間は10日間で、製品の防水性や精度の安定性など、計8つのテストが実施されます。

ジュネーブシールやCOSCと異なるのは、機械式腕時計の「耐磁性」を公的に調べられる点です。
現代の私たちの生活において、スマートフォンやパソコン、カバンの金具など、磁気が発生するものは日常にあふれています。磁石に触れた鉄は、それ自体が磁石となる作用があるため、機械式時計にとって磁力は大敵。
そのためオメガは、そのような磁力にも適応する強靭なムーブメント「マスター コーアクシャル」を2013年に開発しました。
その品質を公的に認定してもらうべくMETASに働きかけ、マスタークロノメーターという新たな精度基準が制定されたのです。

おわりに

今回は、機械式腕時計の品質規格の中から、ジュネーブシール、COSC、マスタークロノメーターについてご紹介しました。
ジュネーブシールなどの品質規格は、それぞれ試験内容や規定に関して異なる部分はありますが、製品自体のクオリティや精度を保証するという点では全て共通しています。
新たに機械式腕時計の購入を検討されている方は、ぜひ製品の品質規格にも着目してみてはいかがでしょうか?
また、手持ちの機械式腕時計を売却したいと考えている方は、その時計がこのような品質規格をクリアした時計なのかどうかを調べてから査定に出してみるのも良いかもしれませんね。